[1]オヤマボクチの綿毛を使用して蕎麦を打つには、通常の二八蕎麦の打ち方とは若干違いますので注意してください。 二八蕎麦の打ち方をマスターしていれば、基本的には同じですが、水廻しから裁ちまでの工程で注意する点を説明します。
[2]この説明では、蕎麦粉500gに対して「オヤマボクチの綿毛」を2.5gを使うことにします。 蕎麦粉の量を増やす場合は比率を同じにしてください。 尚、この比率を保つため、綿毛を正確に計れる(0.5g単位)秤で計量してください。 綿毛の量を目分量や勘に頼ると失敗しますので注意してください。
そば粉に綿毛を入れる
1)綿毛2.5gを、コーヒーミルサー等(例:Iwatani IFM-600D)で更に粉砕し細毛化します。
家庭用ミキサーよりミルサーは高速回転で粉砕できベストです。
2)蕎麦粉の中に1)を直接入れて、両手で蕎麦粉と綿毛をすり込むように混ぜ合わせます。
綿毛が目視できなくなるまで混ぜ合わせてください。
3)水は熱湯でなく、水でよいでしょう。ただし水道水をそのまま使うのではなく、浄水器を通すか
出来れば市販のミネラルウォーターを使用してください。
[3]十割蕎麦に拘わらず蕎麦打ちで大事な工程のひとつが水廻しです。丁寧に数回に分けて 水廻しを行ってください。水の量は、あなたが普段、二八蕎麦を打つときの感覚で良いと思います。
一回目の水廻し
二回目の水廻し
三回目の水廻し
左から、1回目の水廻し、2回目、3回目です。もっと丁寧に4~5回にしても良いでしょう。
そして加水せず水廻しを続けると左のようになります。 ここで、全体を束ねてください。
生地に手水をした直後の写真です。 生地が水で光っているのがわかります
[4]練り
はじめの内は硬めでも構いません。
ここで重要なのは、手水を何回もしながら、どんどん練ります(10分以上)。二八蕎麦の練りの倍
以上は時間をかけてください。最終的に"耳たぶ"の柔らかさまで手水をしながら練ります。
結果として、加水量は300cc強 位になりますので60%強の加水量が理想的だと思います。
二八蕎麦の場合と比べ、かなり多い加水量になります。つまり、練りあがった蕎麦玉は想像以上に柔らかいものです。
[5]のし
生地が柔らかいので、慣れるまでは、打ち粉を充分に使ったほうが無難です。
生地の厚さが0.3mm~0.4mmくらいまで伸ばします。慎重に伸してください。
上の写真は500gの粉で打ちました。厚さは、0.3mmで縦100cm横60cmです
[6]乾燥させる
伸しが終わったら、新聞紙或いはゴザを広げ、その上に生地を広げて乾燥させます。
乾燥させる理由は、生地に水分が多いので綿毛が包丁に付着して旨く裁ちができないからです。
季節や部屋の環境により左右しますが、時間は10分程です。乾かしすぎは禁物です。
裁ちで折り目から切れてしまいます。乾かしすぎで最悪なのは、硬くなってしまい包丁の刃が
たたなくなります。
[7] 裁ち
乾燥した生地は、長手方向に二つ折に畳み、更に三つ折にします。上の画像は、六つ折に畳んで裁ちました。
裁ちは、包丁を思い切り前方へ押し出す感じで押し切りしてください。
また、切っている途中で包丁の刃に綿毛が付着する場合は、蕎麦の断面がささくれますので、
刃に付着した綿毛を取り除きながら裁断してください。原因は乾燥時間が短い場合か、包丁の
切れ味が悪い場合だと考えられます。日頃から包丁の切れ味をチェックすることは重要です。
[8]茹でる
茹で時間は、通常(二八蕎麦)よりも、短めに茹でたほうが良いでしょう。
茹で時間は、経験値(標高差で違います)で習得してください。茹で時間が極端に短いとボキボキとした固い茹で上がりになると思いますのでご注意ください。
以上が簡単な説明ですが、オヤマボクチ蕎麦の作り方です。 二八蕎麦などの打ち方から見ると、かなり変則的な打ち方ですが、経験上これがベストと思います。 重要なことは、[3][4]の工程です。時間をかけて充分に行うことです。